EXHIBITIONS

鹿島茂コレクション フランスのモダングラフィック展

-20世紀初頭の風刺画からアール・デコ挿絵本、1930年代グラフィック雑誌まで

2025.04.26 - 06.29

シャルル・マルタン「雪」『モード・エ・マニエール・ドージュルデュイ』1913年より
鹿島茂コレクション(練馬区立美術館寄託) ©NOEMA Inc. Japan

 群馬県立館林美術館で「鹿島茂コレクション フランスのモダングラフィック展 -20世紀初頭の風刺画からアール・デコ挿絵本、1930年代グラフィック雑誌まで」が開催されている。

 本展では、膨大な古書コレクターとして知られるフランス文学者、鹿島茂のコレクションより、20世紀前半フランスの書籍・雑誌におけるグラフィック—イラストレーションや写真の図版に注目し、新しい時代の表現「モダン」の様相を探る。20世紀初頭のフランスでは、まず風刺雑誌において、前世紀から続くブルジョワ社会や政治の混乱を皮肉る斬新な表現が現れた。ここで頭角を現した若いイラストレーターたちは、続いて革新的なモード(ファッション)や舞台芸術との接点で、色彩を平面的に使用する華やかなイラストレーションを生み、フランス・モダンの開花を告げた。

 第一次世界大戦後は、細い線描や余白を特徴とする瀟洒なイラストレーションが好景気に沸く都市生活と時代の空気を伝え、豪華な挿絵本や美術雑誌が生み出された。1925年の現代装飾美術・産業美術国際博覧会報告書を始めとする出版物は、写真図版ももちいて、アール・デコの工芸や都市デザインを伝えている。写真や印刷技術の発展によりグラフィックの主役は次第に写真へ移るとともに、20年代末に創刊されたグラフィック雑誌『アール・ゼ・メティエ・グラフィック』や写真報道雑誌『ヴュ』は、モダンなタイポグラフィやエディトリアルデザインを世に送り出した。

 本展ではさらに、変化する時代を通じて活躍した敏腕編集者リュシアン・ヴォージェルや、時代の生活感覚を映し出すデパートの出版物にも注目し、鹿島コレクションならではの視点から「モダン」に迫る。