EXHIBITIONS

特別展

生誕100年 中村正義 -その熱と渦-

2025.05.31 - 06.15, 2025.06.17 - 07.06

中村正義 薔薇図(ばらず) 1963 豊橋市美術博物館蔵

 奈良県立美術館で、特別展「生誕100年 中村正義 -その熱と渦-」が開催されている。

 中村正義(1924〜77)は愛知県豊橋市生まれ。日本画家・中村岳陵に師事して戦後の日展で活躍したが、会員に推挙された1961年に師のもとを離れ日展からも離脱する。以後、旧態依然とした日本画壇に反逆し続けたことで、「異端」「鬼才」「風雲児」など様々な呼称が正義の名前に冠せられ、戦後の日本美術において特異な存在とされてきた。多彩で精力的な活動を展開するいっぽう、同時代の作家たちと深く関わり、彼らを巻き込んで牽引力を発揮したことも注目すべき点となっている。評論家・針生一郎とともに立ち上げた「日本画研究会」では、朝倉摂、横山操、片岡球子など在野の画家たちと日本画のあり方について研鑽を重ね、その後同郷の星野眞吾とともに異色の美術グループ「人人会」を創立したほか、さらには多様なジャンルの表現者を取り込んだ芸術祭「東京展」の構想と実現へと至る。

 いっぽうで、病没した日本画家・三上誠の才を惜しみ回顧展の開催に力を尽くし、速水史朗や岸本清子ら若い画家たちへの支援を行うなど、ジャンルや世代を超えて「つながる」ことを重視した作家であったとされている。

 本展は、生誕100年を記念し、正義の画業を代表作によって俯瞰するほか、そうした交友関係にも着目して関連作家の作品もあわせて紹介。また、映画や舞台美術、住宅デザインなど正義の関わった多様な活動にも焦点をあて、改めてその実像に迫る。

 なお、一部作品については展示替えが行われる。