EXHIBITIONS

特別展示

戦後80年 石川の近現代美術 -再生と創造への挑戦-

2025.10.10 - 11.09

高光一也 フードの女Ⅰ 1972 石川県立美術館蔵

 石川県立美術館で、特別展示「戦後80年 石川の近現代美術 -再生と創造への挑戦-」が開催されている。

 太平洋戦争の終結が表明された1945年8月15日。その直後より、石川の美術界では復興運動が早々に始動される。とくに公募美術展「現代美術展」の開催は、戦時中の従軍や疎開、制作・公開の規制などで沈滞していた芸術活動への再出発の契機となった。1946年には金沢美術工芸専門学校が開校し、第一線の作家たちが後進育成にあたる。また、1959年に同館の前身である「石川県美術館」が設立され、全国でも先駆けた動きが県内で展開されていく。

 1945年から55年ごろにかけては、欧米の最新の美術が紹介され、日本の美術界では「アンフォルメル(非具象絵画運動)」が到来する。それまでの具象表現とは対照的な、身体や筆の動きの偶然性、エネルギッシュかつ鮮烈な色彩と表現を特徴とし、流行をみせる。石川の作家たちもまた、国際的な抽象主義に翻弄されながらも、自らの表現を模索していった。

 さらに、石川ゆかりの芸術家たちの活動の場は国内外に広がり、新時代を模索しながら独自の表現を切り開くこととなった。身近に存在する豊かな自然・文化・伝統は作家の感性を育み、また自らのアイデンティティとなり、個の表現に結実していった。

 本展では、終戦から現在までの80年にわたる石川の近現代美術の歩みと、いまを生きる世代につながれた芸術を同館のコレクションを中心として絵画・彫刻分野の視点からたどる。