2025.3.28

小湊鉄道100周年を記念した美術展。市原湖畔美術館で「古往今来・発車オーライ!」が開催

市原湖畔美術館で、市原市を象徴する鉄道・小湊鉄道の開業100周年を記念した展覧会、小湊鉄道開業100周年記念展「古往今来・発車オーライ!」が開催される。会期は4月26日〜9月15日。

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 千葉・市原市の市原湖畔美術館で、市原市を象徴する鉄道・小湊鉄道の開業100周年を記念した展覧会、小湊鉄道開業100周年記念展「古往今来・発車オーライ!」が開催される。会期は4月26日〜9月15日。

 小湊鉄道は、1925年、沿線住民1000人が株主となって開業した、千葉県市原市五井駅から内陸部の上総中野駅までの39.1キロメートルを縦断するローカル鉄道だ。沿線には高滝湖、チバニアン、養老渓谷等の観光スポットもあり、2025年に開業100周年を迎える。いっぽうで過疎化に伴い、経営的な困難に直面しており、芸術祭「いちはらアート×ミックス」でも同鉄道の活性化を目指したプロジェクトが展開されてきた。

 本展は小湊鉄道の歴史や魅力をアートによって照らし出し、発信する展覧会となる。会場では中﨑透、青山悟、クワクボリョウタ、中野裕介/パラモデル、かこさとしの5組の作家が展示を実施。

 「言葉」と「イメージ」の「ズレ」をテーマにした作品で知られる中﨑透は、小湊鉄道社員や地域住民へのインタビューにもとづくインスタレーションを、美術館内と高滝駅から美術館までの道のりに展開。鉄道と交差するそれぞれの人生を紡ぐ。

参考画像 中﨑透 Clothing Fills in the Sky 2021 撮影=中村脩

 工業用ミシンを使い刺繍というメディアの枠を拡張してきた青山悟は、小湊鉄道の鳥瞰図からインスピレーションを受けた未来の鳥瞰図を、市内の子どもたちと制作。また、近代化を生きた同鉄道の100年の歴史に刻まれた「労働」を切り取った刺繡作品を展示する。

参考画像 青山悟 南海トラフジャケット 2024 撮影=宮島径

 鉄道模型を使用した光と影のインスタレーションで知られるクワクボリョウタは、100年前、現在、そして100年後の風景を現出し、無限(∞)のレールを走る小湊鉄道の時空を超えた旅を体感させる。

参考画像 クワクボリョウタ Lost #6 2012 撮影=中村脩

 古今の書物を横断し題材とした創作を続ける中野裕介/パラモデルは、小湊鉄道の幻の路線計画や、房総由来の戯作『南総里見八犬伝』、高滝エリアの旧開発構想など、虚実の出来事を組み合わせ、工事用シートやプラレール、映像や音で遊ぶ大規模なインスタレーションを展開。

参考画像 中野裕介/パラモデル個展「よろぼう少年、かなたの道をゆく ▷▷▷《俊徳丸伝説》であそぶ」(2024) 撮影=高野友実

 そして絵本作家のかこさとしの絵本『小湊鐵道沿線の旅 出発進行!里山トロッコ列車』の原画約20点も展示。工学博士でもあったかこが、小湊鉄道の歴史、地理、自然を紹介する。

かこさとし『小湊鐵道沿線の旅 出発進行!里山トロッコ列車』より

 加えて、小湊鉄道の備品や歴史的資料、鉄道写真から映像まで貴重な資料を一挙に公開。さらにプラレールをつなぎ合わせ、小湊鐵道の幻の線路、空想の養老川や高滝湖のマップをつくる、中野裕介/パラモデルのワークショップも行われる。