2025.6.25

ハンセン病患者・回復者の戦争の記憶に触れる。国立ハンセン病資料館で「戦後80年-戦争とハンセン病」が開催へ

国立ハンセン病資料館で、同館初となる「戦争」をテーマとしたギャラリー展「戦後80年-戦争とハンセン病」が開催される。会期は7月19日~8月31日。

本展のチラシ 掲載は「義足」 年代不明 国立ハンセン病資料館
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 東京・東村山にある国立ハンセン病資料館で、ギャラリー展「戦後80年-戦争とハンセン病」が開催される。会期は7月19日~8月31日。担当学芸員は吉國元(国立ハンセン病資料館 事業部事業課)。

 国立ハンセン病資料館とは、患者・回復者とその家族の名誉回復を図るために、ハンセン病に関する正しい知識の普及や理解の促進による、偏見や差別、排除の解消を目指す施設だ。

 同館において初めて「戦争」というテーマを取り上げる本展では、「戦時下のハンセン病療養所」「日本植民地下の療養所」「沖縄戦」などに関連する資料を展示。展覧会を通じて、戦争がハンセン病患者の隔離を強化し、戦争が隔離下の被害をより深刻にしたという事実を浮き彫りにすることを試みるものとなる。加えて、従軍中にハンセン病を発症し、ハンセン病療養所への入所を余儀なくされたハンセン病回復者が、戦争と隔離というふたつの苦難を生き抜いてきた経験もたどっていくという。

日本植民地時代の小鹿島の療養所で使われた焼きごて。拷問の道具として使われ、入所者の肩や額に押し当てたと伝えられている 2005 撮影=八重樫信之 提供=『絆―らい予防法の傷痕』人間と歴史社
立花誠一郎、広島から満州へ 1942 しょうけい館蔵

 本展の企画意図ついて、国立ハンセン病資料館はプレスリリース内で次のように記載している。

 戦争をめぐる記憶に触れ、それを継承することによって、人権が尊重され、病いと障がいを理由とした差別が繰り返されない社会の実現を願って企画しました。

(プレスリリースより一部抜粋)

 なお、会期中は関連イベントも多数開催されるため、詳細は公式ウェブサイトを確認してほしい。

立花誠一郎がカウラ収容所時代に作ったトランク 1945頃 しょうけい館蔵
薬莢でつくった灰皿 1945以降 沖縄愛楽園
着物を裂いて作った包帯 年代不明 全生病院