2025.7.23

国立新美術館の「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」。ララ・ファヴァレット、森万里子、中山晃子が参加

東京・六本木の国立新美術館で「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」が開催される。会期は9月17日~12月15日。

ブレスレット 1940頃 ゴールド、プラチナ、シトリン、ダイヤモンド ブルガリ・ヘリテージ・コレクション
前へ
次へ

 東京・六本木の国立新美術館で、世界屈指のジュエリーブランド「ブルガリ」の展覧会「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」が開催される。会期は9月17~12月15日。

 タイトルにある「カレイドス」はギリシャ語に由来し、「美しい(カロス)」「形態、種類(エイドス)」を意味する言葉だ。本展ではブルガリの「色彩」をテーマに、メゾンの歴史を刻む「ブルガリ・ヘリテージ・コレクション」と個人コレクションからの貴重なジュエリーとアートを展覧するものとなる。

 展覧会は3つの章で構成される。第1章「色彩の科学」では、色彩の効果に科学的にアプローチし、厳選されたアイコニックなジュエリーを通して色彩の相互作用を明らかにしていく。イタリア国外では一度も展示されたことのない、ゴールドとプラチナにダイヤモンドとシトリンをあしらった《ブレスレット》(1940頃)は、宝石が放つ豊かなオレンジ色のスペクトルを通して、ローマの夕焼けの温かみのあるゴールドの色調を彷彿とさせる。

ブレスレット 1940頃 ゴールド、プラチナ、シトリン、ダイヤモンド ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

 また、プラチナにカボションカットのサファイア、ルビー、ダイヤモンドをあしらった印象的な《バングル》(1954-55)は、ブルガリのシグネチャーである赤と青のコントラストが見どころとなる。

バングル 1954-55 ゴールド、プラチナ、ルビー、サファイア、ダイヤモンド ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

 加えてこの章では、エメラルド、アメシスト、ターコイズ、ダイヤモンドを大胆に組み合わせたネックレスとイヤリングの見事なセットも紹介。ブルガリの色使いの大胆さと独創的な宝石の組み合わせを堪能することができる。

「ビブ」ネックレス 1968 ゴールド、プラチナ、エメラルド、アメシスト、ターコイズ、ダイヤモンド リン・レブソン旧蔵 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

 第2章「色彩の象徴性」では、色の文化的・象徴的な側面を深く掘り下げ、色彩の選択を通じてどのように意味や感情を伝えられるのかを考察。とくに注目なのは、希少なジェイドのジュエリーや、プラチナにダイヤモンドとつの壮麗なエメラルドをあしらった伝説的な《ネックレス》(1961)だ。「セブン・ワンダーズ」と呼ばれるこの特別なジュエリーは、イタリアの女優、モニカ・ヴィッティやジーナ・ロロブリジーダといった著名人に愛用された。

ネックレス 1961 プラチナ、エメラルド、ダイヤモンド ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

 最後となる第3章「光のパワー」では、色を感知する際の光の役割に焦点を当て、とくにシルバーやゴールドといった反射する素材において光がどのように作用するか観察する。1969年頃に制作された《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》はソートワールにもブレスレットにもなるジュエリーで、とりわけ多くの色石が用いられており、ブルガリの色彩とその物語の豊かさを体現するものとされる。またえ、イエローゴールドにアメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンドがあしらわれており、万華鏡のような色彩を見せる。

コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット 1969頃 ゴールド、アメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンド ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

 また、スリートーンカラーのゴールドにシルクコードとダイヤモンドをあしらった《「セルペンティ」イブニングバッグ》(1978頃)にも注目したい。ブルガリの「メローネ」バッグの成功を物語るこのバッグは、当時もっも人気があり、多くの人々から買い求められた。ホワイト、レッド、そしてイタリア語で「アクア・ディ・マーレ」と呼ばれる希少なブルーグリーンの色調がゴールドに織り交ぜられ、メゾンの卓越した金細工の技量を体現している。

「セルペンティ」イブニングバッグ 1978頃 ホワイト、レッド、「シーウォーター」グリーンゴールド、シルクコード、ダイヤモンド ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

 さらに本展ではララ・ファヴァレット、森万里子、中山晃子の3人の女性アーティストが、色彩に関する作品を展開する。

 ファヴァレットのサイトスペシフィック・インスタレーション《レベル》は、回転する色とりどりの洗車ブラシで構成。工業的な文脈から切り離された洗車ブラシが彫刻のような存在となり、動き、リズム、色彩のエネルギーを融合させながら、機械的なものと有機的なものの境界を探求する。

 森万里子の《Onogoro Stone Ⅲ》は、古事記に着想を得るとともに、未来的な素材とミニマリズムを融合させながら、宇宙の均衡を象徴するかのような空間を創出。色彩と形態の象徴的な力を通じて、人間の起源へと深く分け入るような体験を目指す。

 中山晃子によるインスタレーション《Alive Painting》は、水、音、鉱物顔料が混ぜり合い、流動的なフォルムを形成する様子を空間全体に投影する作品。ブルガリのヘリテージ・コレクションである《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》とコラボレーションをしながら、複雑な色彩をつくりあげる。

 そして、会場デザインは妹島和世と西沢立衛が主宰する日本の建築家ユニット「SANAA」と、イタリアのデザインユニット「フォルマファンタズマ」が協働。古代ローマの皇帝カラカラが造営した浴場のモザイク画のパターンに着想を得て、曲線的なフォルムや半透明の素材、色彩の効果を通してブルガリの文化的ヘリテージを反映する。加えてフォルマファンタズマは、ブルガリ・ヘリテージ・コレクションを展示するため、特別な独立型の展示ケースをデザインする。