原口典之「Circulation」がSNOW Contemporaryで開催へ。最晩年の日々の営みを再現
西麻布のSNOW Contemporaryで、2020年に余命宣告を受けた原口典之の、最後の日々の営みを再現する展覧会「Circulation」が開催される。会期は8月30日~10月11日。

東京・西麻布のSNOW Contemporaryで、原口典之(1946〜2020)の個展「Circulation」が開催される。会期は8月30日~10月11日。
もの派を代表する美術家としても知られる原口は、1966年より美術家としての活動を開始。77年の国際展「ドクメンタ6」(ドイツ・カッセル)で発表した《オイルプール》で世界の注目を浴びた。物質の造形を主題としながら、人間と社会との関係を見つめ、繊細でありながら力強い作品をつくり上げてきた原口。物質そのものの美しさや素材感、そして「つくらないこと」を追求しつつ、素材の持つ存在感が場の生成に介入するような作品を生涯制作し続けた。


日本における1970年代以降の現代美術のムーヴメントにおいて、代表的なアーティストであった原口だが、没年の2020年に胃癌の余命宣告を受けることとなる。その後、作品発表の予定を目指すわけでもなく、かぎりある生のなかで、ほぼ毎日のようにミニマルな平面作品を制作。没するまでの3ヶ月間で、総数100点以上にものぼる作品を遺した。その作品は、岩手県北上市にある原口のスタジオ兼自宅の中庭において、原口とそのパートナーのためだけの「個展」にて、毎日のように発表されてきたのだという。
同展は、その原口の最後の日々の営みを、展覧会においてできるだけ忠実に再現することを試みる。会期中は、平面作品17点、立体作品1点を3期に分けて展示。2週間ごとに展示作品をすべて入れ替えることによって、時間の経過ごとにまったく異なる相貌を見せる空間を提示するものとなる。
原口の最晩年の仕事を通じて、終わりなき生の循環という、オープンエンドな芸術作品の可能性を垣間見ることができるだろう。なお、キュレーションは美術批評・土屋誠一が担当する。

