2026.6.12

第16回光州ビエンナーレが開催。ホー・ツーニェンが芸術監督、マシュー・バーニーらが参加

韓国の光州ビエンナーレ展示館で、第16回光州ビエンナーレが開催される。会期は9月5日~11月15日。芸術監督にホー・ツーニェンを迎え、マシュー・バーニー、チョン・グムヒョン、鈴木昭男、佐々木健など世界各地から43組のアーティストやグループが参加する。

Nina Canell《Perpetuum Mobile (25 Kg)》(2009)ultrasound, water, cement, basin, dimensions variable. Courtesy of the artist, Galerie
Barbara Wien, Mendes Wood DM, Kaufmann Repetto and 303 Gallery. Photo: Robin Watkins.
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 韓国・光州で光州ビエンナーレ展示館をメイン会場に開催される「第16回光州ビエンナーレ」。その参加アーティストやテーマが発表された。会期は9月5日〜11月15日。本芸術祭の芸術監督を務めるのは、アーティストのホー・ツーニェン。キュレーターのチェ・ギョンファ、パク・ガヒ、ブライアン・クアン・ウッドとともに展覧会を組織する。

ポスタービジュアル

 今回のテーマ「You Must Change Your Life(お前はお前の生を変えねばならない)」は、ライナー・マリア・リルケ(1875〜1926)の詩『古代のアポロのトルソー』(1908)の最後の一行から引用されたもの。緊急性と開放感、力強さと寛大さをあわせ持つこの言葉を掲げ、ビエンナーレでは「変化」に、身体や知覚が再編成される継続的な実践としてアプローチする。

 芸術監督のホー・ツーニェンは、本展を「異なるスケールや領域での闘争や実験が集まり、互いに対話し、問いかけ、何よりも互いを増幅し合う場にしたい」と述べる。突発的な危機や断絶の瞬間だけでなく、日常的な生活実践の漸進的な蓄積を通じて、人間が影響を与え、また影響を受ける能力をいかに拡張していくかを探求するという。

 参加アーティストは、異なる世代や地域から集まった43名およびグループ。持続的な芸術実践を通じて、新たな能力や生活の形態がいかにして生み出されるかが提示される。

分子レベルから宇宙規模まで。多様なスケールで描かれる「変化」

 本展は、分子から宇宙へ、そして親密なジェスチャーや身近な絆から、社会形成や世界を越えた共鳴へと至る、様々なスケールを横断する旅を演出する。

Nina Canell《Perpetuum Mobile (25 Kg)》(2009)ultrasound, water, cement, basin, dimensions variable. Courtesy of the artist, Galerie Barbara Wien, Mendes Wood DM, Kaufmann Repetto and 303 Gallery. Photo: Robin Watkins.
Goldin+Senneby《Resin Pond》(2025)pine resin installation, exhibition view of Flare-Up at the MIT List Visual Arts Center, Massachusetts, 2025. Courtesy of the artists. Photo: Dario Lasagni.

 ニーナ・カネルは、超音波、水、セメントを用いた《Perpetuum Mobile》(2026)などの彫刻やインスタレーションを通じて、物質がどのように変化し、循環し、関係を結ぶかを考察する。また、多発性硬化症という自己免疫疾患との個人的な対峙を背景に持つスウェーデンのデュオ、ゴールディン+セネビーは、2トンの松脂を用いたインスタレーション《Resin Pond》(2026)において、身体や制度が不安定な関係性のなかでいかに構成されるかを探求する。

Saodat Ismailova《Melted into the Sun》(2024)single-channel video, color, 5.1 sound, 35 minutes 50 seconds. Video still. Courtesy of the artist.

 いっぽう、マシュー・バーニーは、美術学生時代に制作された初期のビデオ作品《SCABACTION》(1988)を出品。身体を一種の有機的な建設現場、あるいはより抽象的な装置の一部として捉える、その後の活動を特徴づけるテーマを展開する。さらに、サオダット・イスマイロヴァの映像作品《Melted into the Sun》(2024)では、中央アジアの歴史的記憶や精神的実践を通じて、身体が別の世界と共鳴し始める様子が描き出される。

身体、記憶、そして他者との関係を再構築する実践

Jeong Geumhyung《Rehab Training》(2022)Installation view at Impulstanz x mumok (Museum moderner Kunst Stiftung Ludwig Wien).Courtesy of the artist. Photo: Peter Mayr.

 自己変革の技術は、アスリートやアーティストの実践のなかにも見出される。チョン・グムヒョンは、リハビリテーション療法に着想を得たパフォーマンスとインスタレーション《Rehab Training》(2015)で、マネキンと自身の身体との間で繰り返される動きを通じて、身体がシステムやケアの形態によっていかに形成されるかを提示する。

Mona Benyamin《Trouble in Paradise》(2018)single-channel video, color, stereo sound, 8 minutes 30 seconds. Courtesy of the artist.
Mona Benyamin《Tomorrow, again》(2023)single-channel video, color, stereo sound, 11 minutes. Courtesy of the artist.

 モナ・ベニヤミンは、《Trouble in Paradise》(2018)や《Tomorrow, again》(2023)といった映像作品を出展。スラップスティック・コメディ(大胆な喜劇)の様式を用いてパレスチナの占領下における日常生活の不条理を浮き彫りにし、家族という単位そのものを異化して再構成する。

Suzuki Akio《An Encouragement of Dawdling – “o to da te” and “no zo mi”》(2018–2019)Courtesy of the artist and Museum of Contemporary Art Tokyo. Photo: Kenta Hasegawa.
Suzuki Akio《An Encouragement of Dawdling – “o to da te” and “no zo mi”》(2018–2019)Courtesy of the artist and Museum of Contemporary Art Tokyo. Photo: Kenta Hasegawa.

 日本からの参加アーティストのひとりである佐々木健は、《Sagami River》(2021)をはじめとする60点以上の絵画を出展。見過ごされがちな日常の品々や障がいを持つ兄のドローイング、歴史的・社会的な風景を注意深く観察し油彩に翻訳することで、絵画における知覚の習慣や価値の体系を批判的に検証する。1960年代から活動する鈴木昭男は、サイトスペシフィックな介入《An Encouragement of Dawdling - "o to da te" and "no zo mi"》(2018-2019)を展開。指定されたリスニング・ポイントを通じて、来場者に立ち止まり、環境の音やリズムに耳を傾けることを促す。

Jang Myung-hee (May Mothers House)《Chuseok Songpyeon (In Solidarity)》(2023)acrylic on canvas, 30 × 30 cm. Courtesy of May Mothers House.
Kang Hae-jung (May Mothers House)《My Eyes (Remembering)》(2022)acrylic on canvas, 30 × 30 cm. Courtesy of May Mothers House.

 このほか、1980年の5・18光州民主化運動によって人生を大きく変えられた女性たちによる共同体「五月母の家(May Mothers House)」のメンバーによる絵画《Chuseok Songpyeon (In Solidarity)》(2023)なども展示され、個人的な記憶が共有された歴史へと変わるプロセスが紹介される。本ビエンナーレは光州という都市を単なる展示の場としてだけでなく、芸術、集団行動、政治的変化が不可分な場として捉え直す試みとなる。