2025.4.28

ホー・ツーニェン、第16回光州ビエンナーレ芸術監督に就任

シンガポールを代表する現代アーティスト兼キュレーターのホー・ツーニェンが、2026年に開催される第16回光州ビエンナーレの芸術監督に就任することが発表された。

ホー・ツーニェン Image courtesy of Singapore Art Museum

 シンガポール出身のヴィジュアル・アーティスト兼キュレーター、ホー・ツーニェンが、2026年9月に開幕する第16回光州ビエンナーレの芸術監督に就任することが発表された。

 ホーは、メディアアーティスト及び映画監督として、多様な形式や文脈を横断する作品を展開してきた。これまでにも光州ビエンナーレとは深い関わりがあり、2018年の第12回展「Imagined Borders」では参加作家として、また21年の第13回展「Minds Rising, Spirits Tuning」では委嘱作品を発表している。

 近年では、ルクセンブルクのジャン大公現代美術館(MUDAM、2025)、ヘッセル美術館、アートソンジェセンター、東京都現代美術館(いずれも2024)、シンガポール美術館(2023)など、世界各地の美術館で個展を開催。また、第54回ヴェネチア・ビエンナーレ(2011)シンガポール館代表、第10回上海ビエンナーレ(2014)、あいちトリエンナーレ(2019)、シャルジャ・ビエンナーレ14(2019)など、世界各地の大型国際展にも参加している。

 キュレーターとしても、ホーは第7回アジア・アート・ビエンナーレ(2019、国立台湾美術館)を共同キュレーション。アジアを地理的な枠組みから再解釈し、周縁地域や流動的な境界を浮き彫りにすることで、絶え間ない変容と出現を描き出し、批評家から高い評価を得た。

 第16回光州ビエンナーレでは、気候変動やパンデミック、民主主義の後退といった現代社会の交差する危機に応答しながら、個人の無力感を超え、集団的な芸術実践と連帯を前面に押し出すことが目指されている。

 光州ビエンナーレ財団代表理事代行のイ・サンガプは、「光州ビエンナーレは国際的に大きな意義を持ついっぽうで、地域の文脈との深いつながりもまた、参加アーティストにとって重要な意味を持ってきました。アジアの文化的多様性に深く感受性を持つホー・ツー・ニエン氏の指揮のもと、今回のビエンナーレは世界と地域の両面で新たな視座を提供するでしょう」とコメントしている。

 ホー自身も、「アーティストとしてではなく芸術監督として光州に戻れることは夢のようです。この素晴らしい都市で特別な旅を始めることができ、とても光栄に思います」と喜びを語り、「このビエンナーレでは、過去20年間に私を突き動かしてきたエネルギー、実践、思考を集結させたい。芸術的な変革の実践が、光州の民主化の遺産とどのように響き合うかを探る場にしたい。単一のメッセージを提示するのではなく、私たち皆で共有し、かたちづくる変革のための提案を生み出す場にしたい」と意気込みを述べた。