「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」(豊田市美術館)開幕レポート。歴史から姿を消した女性作家らの挑戦の軌跡
愛知県の豊田市美術館で、「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」が開幕した。会期は10月4日〜11月30日。

愛知県の豊田市美術館で、1950〜60 年代の日本の女性美術家の活動に焦点を当てた「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」が開幕した。担当学芸員は千葉真智子(豊田市美術館学芸員)。会期は10月4日〜11月30日。なお本展は、東京国立近代美術館(12月16日〜2026年2月8日)、兵庫県立美術館(2026年2月28日〜5月6日)を巡回する予定だ。
本展は、中嶋泉による著書『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性画家』(2019、ブリュッケ)で示された視点をもとに、日本の近現代美術史を新たな観点からとらえ直そうとするもの。第二次世界大戦後の1950〜60年代にかけて、欧米を中心に興隆した「アンフォルメル(非定形)」や「アクション・ペインティング」が一世を風靡し、数々の女性作家が登場した。しかしこれら、とくに「アクション・ペインティング」の芸術動向を特徴づける豪快さや力強さといった、男性性と親密な「アクション」が評価の中心になることで、女性作家が歴史から見落とされてしまった。
この経緯を踏まえ、「アクション」に対する女性作家たちの批評的な立場や意識を、中嶋は「アンチ・アクション」と名付けた。本展では、この概念にもとづき、本書で紹介される4名(*)のほか、新たに10名を加えた合計14名の女性作家によるおよそ120点の作品を通して、彼女たちの時代における応答と挑戦の軌跡を展覧するものとなる。
参加作家は、赤穴桂子、芥川(間所)紗織、榎本和子、江見絹子、草間彌生、白髪富士子、多田美波、田中敦子、田中田鶴子、田部光子、福島秀子、宮脇愛子、毛利眞美、山崎つる子。
*──2019年の初版の際には、草間、田中、福島の3名が紹介され、今回の増補改訂版の出版に際し、新たに多田が加えられた4名が紹介された