上田風子、上路市剛、草井裕子「異界訪問譚 〜もうひとつの世界をみる作家たち〜」

　Gallery MUMONで、上田風子、上路市剛、草井裕子による展覧会「異界訪問譚 〜もうひとつの世界をみる作家たち〜」が開催されている。

　本展は、昨年、静岡県の沼津市庄司美術館（モンミュゼ沼津）で開催された展覧会の小さな東京巡回展となる。展覧会のタイトルには、アートを通して日常とは異なる世界への扉を開いてほしいという思いが込められている。

　出展作家の上田風子は、少女が体験する現実と幻想の入り混じる白昼夢のような情景を独特な色使い、配色で描いた作品を展示。上路市剛は、彫刻や絵画など過去の名作をモチーフにして、そこに込められた美意識を抽出してリアリズム彫刻へとつくり変える。過去の名作を翻訳するシミュレーションを通じて、人物表現に隠された作者の意図や拘りを暴き出し、そこに存在する普遍的な「美」の探求を通して、モチーフ、その作者、それを鑑賞する観衆それぞれとの交流を試みる。草井裕子は、細くとがらせた色鉛筆の先端を使用し細密な描写で描く抽象画を、無作為に選んだ大小様々な紙に刻むことで日常の詩を紡ぐ。