EXHIBITIONS

渡邉泰成「Timeless Primitivism -原始的で現代的な何か-」

2025.03.26 - 04.15

渡邉泰成 Strata Vessel #flame 2025 磁器、顔料、釉薬 φ160 × H210 mm

 京都 蔦屋書店で、渡邉泰成による個展「Timeless Primitivism -原始的で現代的な何か-」が開催されている。

 渡邉泰成は、陶芸の伝統技法を軸に、自身が影響を受けた現代の文化や社会問題を主題としたアートワークから、独自の手法で彩色を施した日常的な食器、茶器などの美術工芸品まで幅広く手がけてきた。「不完全な美-侘び寂び-」という日本特有の概念と、現代の成熟した消費社会のなかに存在する豊かさのあいだで生じる違和感を、脆くとも決して朽ちることのない陶という素材に置き換え、形を残すことをひとつの制作のテーマとしている。

 渡邉にとって京都での初個展となる本展では、2024年4月に拠点を金沢に移してから手仕事と素材の関係性について学び、制作を始めたシリーズ「Strata」を発表。粘性の異なる粘土を複数回塗り重ね焼成を繰り返すことで「現代の地層」を表現した《Strata》と、古代の土器のようでもあり、工業製品のようでもある立体作品へと昇華させた新作《Strata Vessel》を展示。古来より手仕事を重視する工芸に、鋳込み技法を用いた造形と、磁土や顔料によるポップな色付けを組みあわせることで、過去と現在を融合させた新たな表現を試みている。

 そのほか、渡邉がこれまでに手がけてきた日常使いできる茶器や器もあわせて展示。時代を超えても変わることのない、つくるという行為の本質を追求した作品群を見る。