珠洲市の銭湯で展覧会「アウトサイド」が開催。能登半島地震で被災した「能登瓦」をテーマに
珠洲市の銭湯「海浜あみだ湯」で、能登半島地震で被災した「能登瓦」をテーマとする展覧会「アウトサイド」が開催される。会期は11月11日~12月16日。

石川・珠洲の銭湯「海浜あみだ湯」で、能登半島地震で被災した「能登瓦」をテーマとする展覧会「アウトサイド」が開催される。会期は11月11日~12月16日。主催は、能登半島地震で被災した建物の「能登瓦」を救出・保管してきた一般社団法人瓦バンク(以下、瓦バンク。代表理事は森山茂雄)、企画は石川嵩紘(元国立工芸館特定研究員)。

瓦バンクは、坂茂建築設計および建築家・坂茂が代表を務めるボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)と協働しながら、震災後から約1年5ヶ月のあいだに2万枚もの能登瓦をレスキューしてきた。現在は、回収した瓦を新しい建物に再利用するだけでなく、能登の文化や産業の歩みを象徴する素材として位置づけ、そのなかに新たな価値を見出そうとしている。今回開催される展覧会は、その活動の一環となるものだ。

展覧会名の「アウトサイド」には、小松市を拠点とする瓦バンクと、金沢市に住む石川がともに被災者ではなく、あくまで「外部」の立場から震災と向き合っているという点や、珠洲市が石川県の北端に位置していること、そして瓦という素材が屋外で用いられ、人々の暮らしやその土地の景観をかたちづくってきたという、複数のニュアンスが含まれている。
本展では、山本基、七尾旅人、仮( )-かりかっこ-、宮崎竜成、大和楓、池田杏莉といった、被災地を訪れ、それぞれの立場から能登とか関わってきた作家ら6名とともに、地域の産業としての能登瓦の栄枯盛衰の歴史に光を当てるものとなる。

右=山本基 記憶への回廊 2021 奥能登国際芸術祭 © Motoi Yamamoto


右=仮( )-かりかっこ- 展示風景

右=宮崎竜成 展示風景

右=大和楓 ぽよぽよ新聞2025年9月号 2025

右=池田杏莉 それぞれのかたりて 2020
なお、石川県は、倒壊した建築物の公費による解体が2025年11月にほぼ完了する見込みだと発表。そのいっぽうで、本展のプレスリリースでは、「表面的には、奥能登では震災前のような自然豊かな風景が戻りつつあるように見えるが、 それは被災した建物が撤去されたことで、その痕跡が見えにくくなったにすぎない。そこから新たな価値を築いていくことは、決して容易ではない」と、企画に至るまでの課題感についても記されている。









