「チェン・フェイ 展|父と子」(ワタリウム美術館)開幕レポート。「父と子」から見えてくる「力」と「いまの自分」
北京を拠点に活動する画家チェン・フェイの日本初個展「父と子」が、ワタリウム美術館で開幕。「父と子」という普遍的なテーマを通じて、国家や社会、そしてアーティスト自身の視点を浮かび上がらせる本展をレポートする。

東京・神宮前のワタリウム美術館にて、北京を拠点に活動する中国人画家チェン・フェイ(陳飛)による日本初の個展「父と子」が開幕した。会期は10月5日まで。
同館では1997年、香港のイギリスからの返還直前に「中国現代美術展」と題するグループ展を開催したことがあるが、今回の展覧会は中国の現代作家による初の個展となる。館長の和多利志津子は開催の経緯について、「最初のきっかけは、加藤泉さんからの紹介でした。社会にしっかりとメッセージを発する中国人のペインターとしてチェン・フェイさんを紹介され、香港で実際にお会いしました。その後も東京との行き来を通じて交流を深めていきました」と振り返る。

当初は限られた作品しか見ていなかったものの、チェンの人間性に強く惹かれ、やがて本格的な個展の企画へと発展していった。「現在の中国アートシーンでは、商業的な作家が多い印象がありますが、彼はしっかりとしたコンセプトを持ち、自らの表現を真摯に追求している。そして彼の絵画には、新しい世代ならではの感覚があり、非常に興味を惹かれました」と和多利は語る。
本展では、チェンが2022年から25年にかけて制作した新作絵画15点を中心に、高さ7メートルにおよぶ壁画やインスタレーション、ドキュメントなどが、サイトスペシフィックに構成された空間で展開されている。
