EXHIBITIONS

なつやすみの美術館15 美術の歴史と歴史の美術

2025.07.12 - 09.15

保田龍門 満州風景 1931 和歌山県立近代美術館蔵

 和歌山県立近代美術館で「なつやすみの美術館15 美術の歴史と歴史の美術」が開催されている。

 以下、本展の展覧会ステートメントとなる。

「美術と歴史──ともに学校教育における科目や分野の名前です。これらに共通する部分があると感じたことはありますか。

 美術作品にはそれが生み出された時代や社会、また人間の心のありようが映し出されています。私たちのまわりで起こる具体的な出来事が、美術作品が生み出されるきっかけとなることもあります。美術作品を見ることは、それらを深く知ることにつながります。

 いっぽうで美術作品のあり方は、つくり手一人ひとりのなかで、あるいはつくり手同士の関係を通じて、時代を追って変化していきます。それを私たちは『美術の歴史』、つまり人間がつくり出した造形のあゆみとして見つめることで、過去を知る手がかりとしたり、また現在やこの先を見つめる糧にしたりできます。美術と歴史は、はじめから切り離せない関係にあるのです。

 和歌山県立近代美術館はその名前にあるように、近代以降、つまり日本における明治から今日までの美術を収集の対象としています。近代の始まりは世界の各地域によって異なりますが、それぞれの国が外国との関わりを強く意識することになった時代でした。日本にとっては西洋との関わりから、現代につながる美術という価値観が広がっていきます。

 そのあいだ150年余り、この国は大きな世界戦争を直接に経験し、その後ますます世界と大きく関わって、現在の私たちの社会をつくり上げてきました。いまの世界はひと昔前とどのように違うのか、またいまの私たちがこの先どのような世界をつくり出すのか、昭和という時代から数えて100年目、また戦後80年という節目のこの夏、開館55周年を迎えた和歌山の美術館としての目線で考えてみたいと思います」(展覧会ウェブサイトより)。