EXHIBITIONS

光る海 吉田博展

2025.12.20 - 2026.01.27

吉田博 瀬戸内海集 光る海 1926 MOA美術館

 MOA美術館で「光る海 吉田博展」が開催される。

 吉田博は久留米藩士・上田東の次男として久留米市に生まれた。17歳で上京して小山正太郎の画塾・不同舎に入門し、画業を開始。1899年、23歳のときに水彩画を携え、後輩の中川八郎とともに渡米した。デトロイト美術館等での展示即売会が成功し資金を得てヨーロッパを巡り、2年後に帰国した。

 さらに2年半後には義妹ふじをとともに再び渡米し、3年以上をアメリカとヨーロッパで過ごした。これらの外遊で西洋美術に触れて画技を磨き、洋画団体・太平洋画会の中心として活動した。44歳のときに版元渡邊庄三郎と出会い、木版画「明治神宮の神苑」を出版。関東大震災後に渡米した際、日本の版画が米国で評判であることを知り、新しい木版画創造の必要性を認識した。帰国後の、49歳で自ら監修した木版画作品を発表し、後半生は油彩画と並行して木版画制作に取り組んだ。

 本展では、近代風景画家である吉田博がとらえた風景画のうち、海を主題とした「瀬戸内海集」シリーズ、合計7年間を超える外遊によって生まれた「米国シリーズ」「欧州シリーズ」など、木版画の代表作約70点を展観する。後半生に傾倒した私家版木版画では、浮世絵版画の技法に油彩画のタッチと水彩画の色彩表現を加え、洋画技法を取り入れた。あわせて、吉田が描いた風景の現在の姿を撮影した映像を用い、作品を比較展示する。