EXHIBITIONS

若江漢字 絵画という問い ー I

2025.11.15 - 2026.02.23

若江漢字 探査と遁走 2019-20

 カスヤの森現代美術館で「若江漢字 絵画という問い ー I」が開催されている。

 若江漢字は1960年代後半より美術家として国内外で発表を続け、写真を使用した「視覚」の問題を扱うコンセプチュアルな作品や、政治・経済・環境問題など社会的なテーマによるインスタレーションを制作してきた。

 本展では、若江が近年制作した絵画作品に注目し、絵画とは何か、現代の絵画がどうあるべきかという問いを提示する作品を紹介。

 若江は、絵画を視覚再現のための手段ではなく、「世界をどのように見ているのか」「何を見ようとしているのか」などを考えるための装置として位置づけている。また、若江が語る「教育教材としての芸術」という考え方に関連し、絵画がかつて宗教観や歴史を伝える多層的役割を担っていたこと、近代以降の技術革新によって役割が変化したことにも触れている。

 本展では、西洋美術史の名画や宗教画を和歌の「本歌取り」のように画中画として取り入れる作品を展示。この方法は、絵画史における制度や機能を問い直す手法として用いられ、古典的モチーフを現代の文脈に呼び戻し、そのうえに分析や時代性を重ねることで再構築する試みである。