2025.3.26

諸橋現代美術館でアートと「ととのう」展覧会。「ととのう展 ~ヘルスケアにつながる美術館~」が開催

福島・北塩原村の諸橋近代美術館で、美近年の流行語「ととのう」をキーワードに「ココロとカラダがととのう美術館」を提案する「ととのう展 ~ヘルスケアにつながる美術館~」が開催。会期は2025年4月12日〜6月29日。

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 福島・北塩原村の諸橋近代美術館で「ととのう展 ~ヘルスケアにつながる美術館~」が開催される。会期は2025年4月12日〜6月29日。

 景勝地である裏磐梯・五色沼入口の諸橋近代美術館で、サルバドール・ダリの作品を中心に、ピエール=オーギュスト・ルノワール、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、マルク・シャガールなどを所蔵。また、ダリの彫刻39点は、世界でも類を見ないコレクション数となっている。

 今回、同館が開催する「ととのう展 ~ヘルスケアにつながる美術館~」は、アートを通して「ととのう」を提案する新感覚の展覧会となる。近年、心身の健康を保つために、サウナやフィットネス市場が成長し、健康食品やストレスケア商品がヒットしている。本展はそんなストレス社会における美術館の新しい活用方法として、近年の流行語「ととのう」をキーワードに、「ココロとカラダがととのう美術館」を提案するものだ。

諸橋近代美術館

 展覧会はイントロダクションと3章で構成。イントロダクションは、流行語にもなった「ととのう」の概念を紹介するとともに、「ととのう」鑑賞体験のための鑑賞前の脳と体のエクササイズを紹介。眼の簡単なストレッチや頭をやわらかくするクイズ体験、展示室内の目安歩数や消費カロリーの掲示など、ヘルスケア発想での美術館体験を提案する。

 第1章「博物館浴で『ととのう』」では、近年注目が高まる「博物館浴®」(博物館の持つ癒し効果を人々の健康増進・疾病予防に活用する活動)研究の科学的な実証実験の方法やその結果を紹介。

 第2章「画家の感じた印象に『ととのう』」では、印象派をはじめとした戸外制作の画家たちの表現を時代背景からひも解く。19世紀以降の急速な近代化とともに、多くの芸術家が都市部から自然豊かな田舎町に出向き、戸外制作を実施。その背景には近代化の象徴たる鉄道網の発達やツーリズムの発展による余暇活動の充実と自然への渇望があった。本章では画家たちが自然に魅了され、戸外制作に至った経緯を紹介するとともに、自然を眼前に感じた印象を、画家の「ととのった」瞬間と読み解き、画家の「ととのい」を追体験する。

 第3章「天国で『ととのう』」では、ダリが描いたダンテ『神曲』天国篇の挿絵版画を引用し、ダンテやダリが想像した天国世界を紹介。マッサージや温泉で癒された時に体験を「ごくらく」や「てんごく」と表現するように、究極の至福を芸術家がどのように夢想したのかをたどる。

 さらに特別展示として、流行語「ととのう」の火付け役にもなったタナカカツキによる『マンガ サ道』の原画展示や、本展のためのに描き下ろされた美術館オリジナル漫画も紹介される。

 ほかにも、関連イベントとして4月12日、13日に「モロビでサウナフェス」を開催。諸橋近代美術館の庭園に、各日で8〜10のサウナが集結。自然の中で「ととのった」あとに、美術鑑賞に臨むことができる。また、5月18日には「博物館浴®」を提唱する、九州産業大学の緒方泉による講演会「博物館研究の最前線」も開催。鑑賞体験が健康・ウェルビーイングにもたらす効果を学ぶ。