進化したJW ANDERSON。新たなロンドン旗艦店は現代の「驚異の部屋」?
ファッションデザイナー、ジョナサン・アンダーソンが率いる「JW ANDERSON(JW アンダーソン)」は、ファッションアイテムとともにアンダーソン自身のキュレーションで選ばれたホームウェアなども取り扱うブランドとして大きな進化を遂げた。ロンドン・ファッションウィーク中にロンドン旗艦店でお披露目された新コレクションをレポートする。

再定義に合わせてロゴや店舗インテリアも一新
JW ANDERSON(JW アンダーソン)のロンドン旗艦店は歓楽街・ソーホーのど真ん中にある。世界中のハイエンドブランドが軒を連ねるボンドストリートやリージェントストリートから歩けるほどの至近とはいえ、周辺はレストランやカフェ、バーがひしめき合い、瀟洒な有名ブランド街とは大きく異なる熱量とパワーで満たされたロケーションだ。
このたびの大きな変革に合わせてブランドのフォントも刷新、スリムになってより洗練され存在感あるものとなった。店舗も新たなストアコンセプトのもとに再構築された。手がけたのは建築事務所Sanchez Benton(サンチェス・ベントン)。JW ANDERSONの新イメージを体現するかのように、包み込むような懐かしさを感じさせる、温かみのある素材と色彩で心地よい空間に仕上がっている。

力強いキュレーションの定義
キュレーションとは個人的な見解や美的な嗜好、それぞれの文化的な歩みから生み出され、直感や本能に導かれながら調和するものとアンダーソンは位置付けている。そして一見無関係だと思われるものすべてを感性と視点を通じて織り込み一つの広大な世界へと昇華していく。そのようなキュレーションの手法は、彼がもっとも愛するクリエーティブ作業のひとつという。
新しいJW ANDERSONを構成しているのは、そのような過程を経て選び抜かれた品々だ。ファッションアイテムはこれまでのクラシックピースにひねりを加えてアップデートし、それらとともにアンダーソン自身が厳選したクラフトマンシップを強く感じさせるユニークな品々を店内に並べる。ロエベのクリエーティブ・ディレクター時代の2017年には「ロエベ・クラフトプライズ」をスタートさせるなど、人間の手が作り出す逸品に深い造詣を持ち深く愛する彼ならではと言えそうだ。そしてファッションとそれら品々が一堂に介するこの店舗は現代の「Cabinet of Curiosities(驚異の部屋)」でもある。
